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ピンホールメガネで視力回復する方法が、ちょっとした人気を呼んでいます。
ピンホールメガネとは、針で開けたような穴がたくさん開いた眼鏡。
この穴を通して見ると、近眼の人でも、遠くがはっきりと見えます。そのため一見、視力が回復したかのように思えますが、そうではありません。眼鏡を外すと、もとの状態に戻ります。
ピンホールメガネには、いろいろな呼び名があります。
穴あきメガネというのが、もっとも分かりやすい名称でしょう。そのほかピンホールマスク、ピンホールアイマスク、視力アップアイグラス、パソネット・ピーシー・アイ、アイプロテクションなどなど。この辺は商品名による違いといえます。
ピンホールメガネを覗くと、どうして遠くが見えるのでしょうか？
これはピンホール現象によります。簡単にいうと、近視の人が目を細めると、遠くがよく見えるようになることと同様の原理です。
瞳孔を通ってきた光は、通常、水晶体を通るとき、屈折します。
水晶体は両凸レンズになっているので、大きく屈折するのです。外界の広い景色を、直径24ミリという小さな眼球の網膜、それも黄斑部に映すには、像を屈折させて集約しなければなりません。
近視の場合、この屈折力が強いため、網膜の手前の位置で像を結んでしまいます。そのため網膜には、ぼやけた像しか届かないわけですね。ところがピンホールメガネを通すと、光の筋が瞳孔に入ってくるため、水晶体のほぼ中央部のみを通過。そのため光の屈折の作用をほとんどうけずに、網膜に到達できるのです。その結果、遠くの景色でも、ぼやけずにハッキリと見ることが可能になります。
ただし目を細めて遠くを見ようとすると、視力低下の原因となるので注意しましょう。ピンホールメガネを装用して遠くを見ても、目が悪くなることはありませんが、目を細めると視力が悪化する危険があるのです。なぜかというと、目を細めると、目の微動が止まってしまうからです。目を細めると、眼球を動かそうとしても、あまり動きませんよね？その結果、外眼筋が緊張を起こす危険があるのです。
ピンホールメガネで遠くが見える原理は理解できたと思います。
それでは、穴あきメガネを視力回復トレーニングのグッズとして利用することはできるのでしょうか？
ピンホールメガネが視力回復に効果があるといわれるのは、以下のような点からです。
ピンホールメガネで視力回復できるとされるのは、眼鏡を掛けている間、ずっと毛様体筋を使わないで済むからです。通常、目を開けていると遠くや近くを見るわけで、どこかに焦点を合わせています。このときは毛様体筋（もうようたいきん）という筋肉を調節しています。そのため目の疲れが起こってきます。
ちなみに仮性近視とは、この筋肉がこり固まった状態です。
そのため近眼の人が、毛様体筋をほぐすことができれば、視力が回復すると考えられるのです。
ただし毛様体筋を休めて視力が回復するのは、ごく初期の近視に限られるのではないでしょうか？なぜ毛様体筋が休まるのかというと、前述したように水晶体のほぼ中央部だけを光の筋が通るので、毛様体筋の調節がほとんどいらないからです。
ただピンホールメガネを装用すると、視界が限定されて、かなり見づらくなります。穴の映像を総合して、頭のなかでなんとか再構成しているわけです。そのため活字を追う読書や、パソコン作業、受験勉強などには不向きです。
視野が狭まりますし、速読などはできなくなります。勉強効率も落ちます。
ピンホールメガネが適しているのは、だいたいの話の筋を追えばよいテレビドラマなどに限ります。外出時の装用は危険なので、室内限定で使用しましょう。
ピンホールメガネを掛けていると、光を通す穴の部分と、黒塗りの部分が同時に目に入ることになります。この状態で首をわずかに動かすだけで、虹彩筋が収縮と弛緩を繰り返します。つまり全く動かないのではない限り、ピンホールメガネを掛けている間は、ずっと虹彩筋が運動を続けているということです。
虹彩筋は瞳孔の大きさを調節している目の筋肉。
光の量が多くなると、まぶしいので瞳孔を小さくします。反対に、暗い部屋などに入ると、多くの光の情報を取り入れようとして、瞳孔は大きくなります。近視の人は、瞳孔が大きめといわれていますから、虹彩筋の訓練によって、瞳孔を小さくする効果が期待できます。これもまた、瞳孔というピンホール現象なのです。
そのほかピンホールメガネには、小さな光の筋が、網膜の周辺部に当たることで、周辺視野を活性化する効果があるともいわれています。