不眠症の対策方法と、睡眠薬の副作用や危険性を解説しています。
不眠症対策〜寝付けない夜にTOP > 不眠解消の方法とは? > 不眠症解消と概日リズムの調整
不眠症解消のためには、リラックスしたり食事や運動も大切ですが、概日リズムを整えることも重要な要素です。
人間には、もともと24時間より少しだけ長い「体内リズム」が備わっています。
自転周期は約24時間ですが、体内に備わっている周期は、25時間といわれています(一説には24時間11分)。つまり、地球の自転周期よりも、やや長いわけですね。そのため人間に備わったリズムのことを、概日リズム(サーカディアンリズム)といいます。これはご存じだと思います。
体内リズムは、ぴったり24時間ではないので、毎日24時間に修正しないと、毎日1時間(あるいは11分)ずつ、ずれていってしまうことに。しかし、現実には毎日、ほぼ決まった時間に起きて、決まった時間に寝ることができますよね?これは毎日、太陽の光を情報として、体内時計を自転周期に合わせているからです。
不眠症を解消するためには、概日リズムをコントロールするテクニックを知っておく必要があります。といっても難しいことはありません。朝起きたら明るい空を眺めればよいのです(ただし太陽を直視しない)。これだけで脳内の視交叉上核に情報が届いて、体内時計が24時間に修正されます。それが松果体に伝わって、メラトニン分泌がストップ。その結果、25時間の概日リズムが、自転周期の24時間と同調するのです。
これは海外旅行などに行ったとき、その都度調整しなければなりません。
しばらくは、その地の自転周期と合致しないので、時差ぼけを起こすことになります。しかし海外旅行へ行かずとも、今住んでいる地域で生活が乱れている人は、自転周期とかみ合わずに「時差ぼけ」と同じ症状を起こしているわけです。この場合、体内リズムの調整は、不眠症解消に有効です。
夜型生活をしている人は、夜中はずっと起きていて、明け方に寝たりするリズムだと思います。この場合、朝方に布団に入れば眠れるわけですから、不眠症ではありません。単に概日リズム睡眠障害であり、睡眠相の後退現象です。
夜型の人は、朝日を浴びれないわけですから、当然、体内リズムは調整されません。むしろ朝日を浴びてから寝ることのほうが多いと思います。しかし、これでは体内時計の調整にはなりません。昼過ぎに起きている生活だと、朝日を浴びれないので、毎日1時間ずつ睡眠相が後退していくことになります。
夜型による睡眠障害における不眠症解消方法は、寝る時間をコントロールしようとするのではなく、まず起きる時間から整えることです。夜型の場合、23時ごろは、まだ体温が高いので、どんなに気合を入れても意識でコントロールできません。しかし朝起きることは、意識でコントロールが可能です。もちろんその日は、寝不足になるでしょうが、その日の夜は眠れるようになります。
このように体内リズムのずれによる不眠症の解消法は、「寝不足覚悟で」思い切って早起きして、太陽の光を浴びる”荒療治”しか方法がありません。そうすると約14時間後に睡眠ホルモンのメラトニンが分泌を開始します。また少し寝不足なので、睡眠物質がたくさんたまって、その日はぐっすり眠れることでしょう。
こうした正攻法の不眠症解消方法を用いずに、夜型の人がハルシオンやアモバン、マイスリーなどの睡眠薬を飲むことは危険です。今はインターネットで「ハルシオン売ります」とかいうサイトがありますが、そういったところでハルシオンを入手しないようにしましょう。ハルシオンの依存性や副作用は、健忘や夢遊病の症状など危険だからです。
かならず医師の指示の元に使用すべきです。心ある医師は、ハルシオンは危険すぎるということで、作用が弱めのレンドルミンやリスミーを処方したりします。
さて、このようにして朝に太陽の光を浴びる不眠症解消の方法ですが、夜の過ごし方も大切です。どんなに早起きして朝日を浴びたとしても、夜に煌々と明かりをつけていては、せっかく整った体内リズムが再度ずれてしまいます。
朝日を浴びてから約14時間後に、メラトニンが分泌を開始するということは前述しました。しかし、夜間にパソコンや携帯電話、テレビなどを見ていると、目から強い光が入ってくるので、せっかく分泌されてきたメラトニンの分泌が止まってしまいます。朝日を浴びてメラトニン分泌が止まって、すっきり目覚めるように、夜に強い光に当たると、同様にメラトニンが止まってしまうのです。
ですから不眠症対策のためには、朝と夜の過ごし方はセットで考えなければなりません。朝は早起きして、太陽の光を浴びる。夜は照明を落として、明るい画面を見ない。この二つがそろってこそ、不眠症解消に効果が現れるのです。
とはいっても、現代において夜に照明を落とすと、生活が不便に感じられるかもしれません。不眠症解消のためには、全くモニターを見ないことが理想ではありますが、そこまでしなくてもよいと思います。たとえばパソコン画面なら、夜に限って照度を最低レベルまで下げるのです。これだけでも違ってきます。