不眠症の対策方法と、睡眠薬の副作用や危険性を解説しています。
不眠症対策〜寝付けない夜にTOP > 不眠解消の方法とは? > 不眠の症状とは?
不眠の症状というと、夜になかなか寝付けない悩みだけと考えがちです。
しかし、夜寝れないだけが不眠症ではありません。
不眠の症状は、以下の4つに分類できます。
上記4つのどれかに該当し、かつ本人が不眠で苦しみ、生活上でも質の低下があったときに、はじめて不眠症となります。ですから、たとえ寝づらくても夜中に起きても、本人が気にしておらず、生活の質も損なわれなければ不眠症とはなりません。いくつかの症状が混在していることも、もちろんあります。
不眠の症状としてもっとも多いのは、入眠障害です。
入眠困難ともいいます。布団に入ったものの1時間以上寝付けないでいると、入眠障害の不眠の症状といっていいでしょう。
強いストレスや不眠恐怖症などの場合は、超短時間作用型の睡眠薬・ハルシオン、アモバン、マイスリーを処方したりします。医師によってはハルシオンが危険ということで、短時間作用型のレンドルミン、エバミール、ロラメット、リスミー、デパスを処方することもあります。ハルシオンやアモバン以外は、深刻な不眠の症状には、全く効き目がないことがあります。
ただし、単に夜型のリズムで寝付けないこともあります。
これは不眠症とはいわず、たんに不眠、あるいは概日リズム睡眠障害といいます。概日リズム、つまり人間にもともと備わっているサーカディアンリズムに障害があるわけです。
人間の視床下部(視交叉上核)には、25時間(一説には24時間11分)の体内時計があります。自転周期の24時間と少しずれているので、概日リズムといいます。つまり約1日のリズムということですね。自転周期よりもわずかに長いため、毎朝太陽の光に当たって体内時計を修正しなければ、どんどんずれていってしまうことに。
夜型の人は、必然的に朝寝坊して朝日を浴びないために、体内時計がどんどん自転周期とずれていってしまいます。その結果、入眠障害という不眠の症状が現れるのです。しかし、夜型の人でも明け方ならば、スッと眠れるでしょう。ですから、厳密に言うと不眠症ではなく不眠であり、睡眠障害なのです。
こういった夜型生活の人でも、睡眠不足を覚悟で早起きして、太陽の光を浴びれば、体内時計が修正されます。時差ぼけのようなものだからです。ですから、自分が夜型でないかをまずは確認することが大切です。夜型で眠れないからといって、ハルシオンやアモバン、マイスリーなどの超短時間作用型の睡眠薬(睡眠導入剤)を服用することほど、間違った行為はありません。
入眠障害は、そのほか精神生理性不眠の人で現れます。
これは神経症の一種で、「今日も寝れないかもしれない」と予期不安をもってしまい、本当に寝付けなくなる不眠の症状が現れるのです。こういった場合は、必要以上に構えないことが大切です。認知行動療法やカウンセリングによる不眠治療が行なわれます。
寝る前の4時間に刺激物質であるカフェインを摂取したり、食べたりすると入眠困難の不眠の症状が現れることがあります。喫煙やアルコールでも同様です。これは人によります。刺激に強い人は難なく眠れますが、刺激に敏感な人は、朝に飲んだたった一杯のコーヒーだけで、寝つけないという不眠症の症状が現れたりします。
そのほか、一時的なストレスや悩みで寝付けないことがあります。
これは一過性不眠といって、じきに治るので心配することはありません。よっぽどひどい場合は、まず1ヶ月を目安に市販の睡眠改善薬(ドリエル、グッスミン)や、漢方薬、ハーブ(バレリアンなど)もよいかもしれません。それでも眠れないのなら、はじめてメンタルクリニックに行けばよいのです。
アトピーによるかゆみ、痛み(関節炎など)、喘息による咳も入眠困難を引き起こします。こちらは原因疾患の治療が、不眠症対策に優先して行なわれるべきです。
中途覚醒は夜中に目覚めてしまって、そのあと眠れなくなる不眠の症状。
早朝覚醒も同様に、早朝に目覚めたあと、寝ようとしても寝れなくなる状態です。
高齢になるほど、深いノンレム睡眠が減少し、メラトニンの分泌量が少なくなるために、中途覚醒・早朝覚醒の不眠の症状が多くなります。この不眠症対策としては、日中に運動を取り入れたり日光浴をするなどがあります。
食事からメラトニンの前駆物質であるトリプトファンを摂取することも大切です。乳製品や大豆、バナナ、玄米などに含まれています。とくに更年期を迎えた女性は、エストロゲン様物質である大豆イソフラボンも含まれている大豆を摂取するとよいでしょう。
中途覚醒の不眠の症状に対する睡眠薬としては、短時間作用型や中間時間作用型の薬剤が使われます。とくにエバミールやロラメットは短時間作用型にもかかわらず、血中半減期が10時間と長くなっています。つまり入眠困難にも使えるし、中途覚醒にも使えるということです。筋弛緩作用も少ないので、エバミールは高齢者や未成年者に適しています。
早朝覚醒は、うつ病による不眠症の症状の特徴でもあります。
まれに精神生理性不眠の患者さんで、早朝覚醒するからといって、勘違いして抗うつ薬を服用している人がいるようですが要注意です。早朝覚醒による不眠の症状には、エリミン、ベンザリン、ネルボン、ユーロジン、ロヒプノール、サイレース、ドラールなどが処方されます。
ただし、翌日の持ち越し効果という睡眠薬の副作用があります。
起きがけにふらついて、転倒することもあるので要注意です。とくに高齢者は、骨折から寝たきりになってしまう危険があります。ただ睡眠薬ロヒプノールは、血中半減期が7時間であり、持ち越し効果が弱くなっていて、優良なお薬です。ただしアメリカでは、ロヒプノールは麻薬扱いであることも知っておきましょう。
これは、きちんと睡眠時間を確保しているのに、寝た気がしないという不眠の症状です。これも睡眠不足を本人が辛いと感じ、実際に生活の質(QOL)が低下していれば、列記とした不眠症なのです。
熟眠障害は、いいかえると深い眠りを取れていないということ。
それは昼間の運動量が少ないためです。昼はベッドや布団に横になっているのではなく、できるだけ外出してウォーキングしたり買い物などをすると、このタイプの不眠症対策に有効です。
快眠サプリメントとしては、グリシンやアルギニンを摂取すると眠りが深くなります。そのほか、アロマテラピーのラベンダーの香りに、深い眠りを長くする効果があることが実験で証明されています。